「豊かさ」をどんなものさしではかりますか? お金を持っていることでしょうか。便利で、快適な暮らしを送ることでしょうか。
今まで世界では国の豊かさを測る指標として「GNP(国民総生産)」や「GDP(国内総生産)」などが使用され、どれだけ経済成長したかというこ とが「豊かな国」と定義だと信じられてきました。
この考え方はグローバリゼーションの波に乗って世界中に広がり、世界の様々な地域に「開発」という名の 「消費社会」が流れ込みました。
結果、便利で快適に生活できるなどの正の側面がある反面、負の側面ではコミュニティの伝統的な暮らしが崩壊し、かつてはそこにはなかったはずの「新たな貧困」が生まれるようになったことも事実です。
本当の豊かさとはなにか?それを、今こそ考える時ではないでしょうか。
<幸せの経済学 あらすじ>
-ラダックに迫る近代化の波 -
急速なスピードで世界的に広がった近代化の波は、30年前まで外国人立入禁止地域だったヒマラヤの辺境ラダックにも押し寄せていました。西欧の消費文化は あっという間に彼らの伝統的な生活スタイルを一変させ、自然との関わりを切り離し、人との繋がりを希薄化させることにより、彼らのアイデンティティーや伝統文化の誇りまでも奪っていきました。
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昔はいきいきと目を輝かせて暮らしていたラダックの人びとが、10年後には「(欧米文化に比べ)私たち は何も持っていない、貧しいんだ。支援が必要だ」と訴えるようになったのです。
この映画では、消費文化に翻弄されるラダックの人びとの姿をもとに、世界中の環境活動家たちがグローバリゼーションの負の側面を指摘し、本当の豊かさとは何か、を説いていきます。
-答えはローカリゼーションにある-
監督のヘレナ・ノーバーグ・ホッジさんは、その解決の糸口として「グローバリゼーション」と対局にある「ローカリゼーション」を提案していきます。
そして、地域のものを食べる(地産地消)運動「ローカルフードムーブメント」も、生物多様性、地域経済、コミュニティーを復活させるなど、いくつもの効果をもたらすと語っています。
長岡市の農村地域、写真奥では農家のおばあちゃんたちの談笑が見えます。
地域の力を取り戻すローカリゼーションの促進が、切り離されてしまった人と人、人と自然とのつながりを取り戻し、地域社会の絆を強めていく、と語ります。
実際に世界では、「本当の豊かさ」を求め、持続可能で自立した暮らしを目指すコミュニティの構築が世界的に広がりつつあります。
この映画の中では、日本の小川町での取り組みやキューバで起こったオイル・ピークについてのサステナブルソリューションについても取り上げています。
ローカリゼーションが実現すれば人々は再び幸せを感じることができるようになるというのです。
行き過ぎたグローバル経済から脱却し、持続可能で幸せな暮らしをどう作っていくべきなのか。そのヒントは日本の伝統文化の中にもあるのではないでしょうか。彼女はその気づきを我々に与えてくれるでしょう。
山で穫れた梅の収穫。これから梅酒の仕込みです。
この映画にはラダックはもちろん、日本も含めさまざまな場所でのローカリゼーションの事例が登場します。
それを観れば、ローカリゼーションの意味が 理解できる。そんな映画になっています。
ある意味では教科書的な、あるいは「グローバリゼーションってなんか…」と思っている人が次の一歩を踏み出すため のヒントになるような、そんな映画なのです。
9月4日は是非皆で、持続可能で幸せな暮らしを考えてみませんか?